以下のグラフは、乱数を加えていったものを示しています。乱数の範囲は-0.5~0.5とし、初期値は0としました。横軸が1増加するたびに、新たに乱数を加えています。
数字のイメージとしては、以下のようになっています。
n | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
1 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
2 | -0.04 | 0.03 | -0.13 | -0.19 | -0.04 |
3 | -0.46 | -0.35 | 0.26 | -0.21 | -0.03 |
4 | -0.10 | -0.53 | 0.33 | -0.19 | 0.45 |
5 | 0.03 | -0.73 | 0.00 | 0.03 | 0.38 |
乱数を加えていくと、最初に0から始まった数値は、徐々に幅広く分布するようになり、操作を100回繰り返す頃には、差が10程度にまで開いています。また、興味深いことに、一度、値が大きくなり始めたラインはさらに数字が大きくなっていくように見えます。これは逆正弦定理と呼ばれ、数学的にも確認されているようです。
では、ある時点で、数字が大きい側にある、と判断したとしてその後は必ず上昇トレンドが得られるのでしょうか。そこで、上のように乱数を加える操作を50回行った後に、 乱数を加えるれると複数作成してみたものを以下に示します。
50回の乱数加算操作後は、上昇トレンドに見えていた数列ですが、その後乱数を50回加算する試行よって、その分布はやはり上下に分離していきます。結局、横軸50のところを初期値とした場合と変わらないため、先に示した初期値0と同様の結果が得られるわけですね。
すなわち、ランダムウォークは過去の初期値から見れば上昇あるいは下降のトレンドを維持する傾向があるものの、ある時点以降に更に、上昇トレンドにあるのか、下降トレンドにあるのかを見極めることはできない、ということになります。
実際には、投資により社会全体の富が増えていることから、一般的な経済では長期トレンドが上昇であることは間違いないですが、仮に短期的に証券価格がランダムウォークに従うのであれば、過去のトレンドに基づいて将来の値動きを予測することは不可能ということになります。
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